李長楽の怖さは、嫉妬だけではなく、自分が家の中心だと信じているところにあります。
李長楽は『王女未央』の中でも分かりやすい悪役です。美しく、誇り高く、李未央を敵視する。しかし彼女を単なる嫉妬深い女性として見ると、家宅劇としての面白さが薄くなります。
李長楽は嫡女です。家の正統な娘として育てられ、自分が一番であることを当然だと教え込まれてきました。そこへ、低い位置から現れた李未央が知恵と勇気で評価され始める。これは李長楽にとって、自分の価値を脅かす事件です。
嫡女の誇りは、弱さにもなる
嫡女であることは強みです。母の後ろ盾があり、家の期待を受け、良い婚姻にも近い。しかしその強みは、失う恐怖も生みます。李長楽は自分の優位が崩れることに耐えられません。
だから彼女の悪意は、恋の嫉妬だけではありません。家の中で自分が中心であるという秩序を守ろうとする反応でもあります。
李未央との対比が物語を動かす
李未央は名前を借りて生きる人で、李長楽は名前と家柄に守られて生きる人です。この対比があるから、二人の衝突は個人同士の喧嘩ではなくなります。
李長楽を見る時は、彼女が何を失うことを恐れているのかに注目するといいでしょう。悪役の強さは、彼女の中にある不安の強さでもあるのです。