嫡庶は血の濃さではなく、母の身分によって子どもの位置が変わる家族制度です。
嫡庶は、中国時代劇で家族関係を読むための基本語です。嫡は正妻の系統、庶は妾や側室の系統を指します。同じ父の子でも、母が正妻か妾かによって、家の中での扱いが変わります。
宗法の考え方では、家の継承や祖先祭祀は正統な系統と結びつきます。嫡子、とくに嫡長子は家の中心に近く、庶子や庶女は外側に置かれやすくなります。
正妻と妾は同じではない
英語や現代語では妾を「第二夫人」のように訳したくなることがあります。しかし宋代の妻妾研究が示すように、妾は妻ではありません。正妻は婚礼や親族関係を通じて家と家を結びますが、妾の親族は夫の正式な親族にはなりません。
この違いが、子どもの位置にも影響します。庶出の子も父の子ですが、家の正統性では嫡出に及びません。
ドラマでは何を見るべきか
嫡庶が出てくる場面では、「誰が愛されているか」だけでなく、「誰が正統と見なされるか」を見てください。嫡女は家の面子を背負い、庶女は才があっても一歩下に見られる。庶子は能力があっても、継承や評価で疑われることがあります。
嫡庶とは、家庭内の感情を制度に変える言葉です。この仕組みを知ると、『明蘭』や『王女未央』の家の争いが、ただの性格の悪さではなく、身分と将来をめぐる争いとして見えてきます。