『如懿伝~紫禁城に散る宿命の王妃~』は、『宮廷の諍い女』のような後宮劇を期待して見る人も多い作品です。ただし、味わいはかなり違います。『如懿伝』が描くのは、後宮で勝ち残る爽快さではなく、かつて愛情だったものが、制度と疑心の中で少しずつ形を失っていく過程です。
主人公の如懿は、乾隆帝の側にいる女性です。若い頃には互いに信じ合える関係があったはずなのに、皇帝と皇后、夫と妻、君主と臣下という複数の関係が重なることで、二人の距離は変わっていきます。
これは「愛が終わる物語」として見ると深い
後宮劇というと、どうしても誰が寵愛を得るか、誰が失脚するかに目が向きます。もちろん『如懿伝』にも権謀術数はあります。けれど、この作品の中心にあるのは、愛情そのものが宮廷の制度に耐えられるのか、という問いです。
皇帝は一人の夫である前に、国家の中心です。彼の感情は私的なものに見えて、周囲の人間の運命を左右します。如懿が傷つくのは、ただ愛されなくなるからではありません。信じていた相手が、権力者として自分を見始めるからです。
衣装や美術は感情の温度を映している
このドラマは衣装が非常に美しい作品ですが、単なる豪華さとして見るより、人物の立場や心の距離を示すものとして見ると面白くなります。色、髪飾り、座る位置、呼び名の変化に、関係の変化がにじみます。
見る前に覚えておきたい姿勢
『如懿伝』は、テンポよく敵を倒していくドラマではありません。むしろ、理不尽な状況の中で、如懿が何を手放し、何を最後まで守ろうとするのかを見ていく作品です。苦い場面も多いですが、その苦さがあるからこそ、彼女の沈黙や微笑みが忘れがたく残ります。
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