1994年版の『三国志演義』は、いまの中国ドラマとはかなり違う見心地の作品です。映像は派手なCGで押すタイプではなく、舞台劇に近い重み、朗々とした台詞、人物の所作で古典を見せていきます。最初は少し古く感じるかもしれませんが、慣れるとその格調が大きな魅力になります。
日本ではゲームや漫画を通して三国志を知っている人も多いでしょう。ただ、このドラマは歴史そのものというより、明代の小説『三国演義』を映像化した作品として見るのが入りやすいです。つまり、史実の再現だけではなく、忠義、智略、英雄の盛衰を語る古典物語なのです。
まずは三つの勢力だけ押さえる
人物名が多い作品ですが、最初から全員を覚える必要はありません。入口では、劉備・関羽・張飛を中心とする蜀、曹操を中心とする魏、孫権を中心とする呉。この三つの勢力だけ押さえておけば十分です。
劉備側は義と人望、曹操側は現実主義と統治能力、孫権側は江南の独立した政治感覚が軸になります。どの陣営にも魅力があり、単純な善悪では割り切れません。
1994年版を見る意味
この版の魅力は、人物が記号として強く立っていることです。関羽の威厳、諸葛亮の静けさ、曹操の大きさ、劉備の涙。現代的な心理描写とは違いますが、だからこそ古典の人物像がはっきり見えます。
また、台詞の間や合戦場面の構図には、講談や歴史絵巻のような味わいがあります。テンポの速いドラマに慣れているとゆっくりに感じる部分もありますが、そこにこそ「物語を聞く」楽しさがあります。
日本語版で見るときの注意
日本語字幕や吹替で見る場合、人物名の読み方や役職名に少し戸惑うかもしれません。分からない名前が出てきても、主役級の人物は繰り返し登場するので大丈夫です。最初は桃園の誓い、董卓、曹操、諸葛亮、赤壁という大きな流れだけを追ってみてください。
『三国志演義』は、知識がある人だけの作品ではありません。むしろ、人物の名前を少しずつ覚えていく過程そのものが楽しいドラマです。